61.ETHでの学期の振り返り(石膏模型・3Dプリント・ポーフォリ作成)
- hinakokuga
- 2018年6月10日
- 読了時間: 6分
ETHでの勉強面(建築面?)についての振り返りをしたいと思います。
基本的には先学期と同様に設計スタジオをメインに授業を履修していましたが、スタジオについては長くなりそうなので次回の記事で書くことにして、それ以外のことについて書きます。
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初めは、4/4のブログでも少し書いた、特に面白かったModel and Designと3D Scanning and Freeform Modelingの2つの授業についてです。
まず、Model and Designの授業について。
この授業では、ETHのメインキャンパスZentrumに関する模型を作る課題がいくつか課されました。(建築があるキャンパスは チューリヒの中でもhönggerbergという田舎の方にあります。)
最終課題前の練習課題の一つとして、キャンパスのメインビルの一角をピックアップし、そこを表現するという課題がありました。

↑私はこの天井の隅をピックアップしました。このZentrum、なかなか「壁2面+床or天井」といういわゆる「隅っこ」空間が見つけられず、ようやく見つけた隅っこ空間でした。
リアルに作るというより、ある程度表現はシンプルに省略して、「隅っこ」感を強調することにしました。
石膏の表情を変えるために、スタイロフォームとサンドペーパーを使用して型を作り、また、敢えて段差を強調し、天井の表現は、画用紙に絵の具でペイントしました。
↓完成形はこんな感じ。

↓これが実際の隅との比較。上が模型写真で下が実際の天井の隅の写真です。


時間はかけられなかったし荒は多いけれど、なんとなく雰囲気は表現できたかな?という印象です。
↓面白いな、素敵だなと思った他の人の作品の一部。


また、最終課題は、Zentrumの外構の一部をピックアップして石膏で表現するというものでした。これは先の課題よりももっと複雑で、かなり時間を割いた課題です。
↓私はこの水飲み場(?)をピックアップしました。

この水飲み場作り、なかなか難しかったです。
↓まず、写真から図面を書きました。

これをもとに、省略するところは省略しながら石膏模型を作っていきます。
大部分は型を作り、そこに石膏を流し込むことで作っていきました。

↑カーボンボードを切ってそれをガイドとしてスタイロを切り、型を作ります。
このように、型を作って流しこむ工程は今までの練習課題でたくさんやっていて、もう大分慣れたものだったのですが、他の工程で、いくつか難しいポイントがありました。
一つめの梃子摺ったポイントが、水飲み場のお皿の部分です。
まず楕円型に切ったMDFの周りに、アクリルで作った型を石膏を流しながら動かして、お皿の内側の形の型となる石膏をとりました。


そしてそれを乾かし、表面を石鹸で磨いた後、その上に少し大きいアクリルの型を用いて石膏を重ねます。

乾くと石鹸を塗った面を境に二つに外すことができ、お皿型が出来ました。
他に難しかった工程としては、小さいコラム(柱?)の作成です。

↑まず図面を作成しました。

↑この写真の装置(?)を木と棒で作り、棒にテープを巻いて引っかかりを作り、棒を回しながらその上に石膏を流し、型で形を整えていきます。
初め作ったプラスチック板の型では弱すぎてうまくいかなかったので、改めてアクリルで型を作り直したり、木の装置も使いやすいように小さく作り直したり、試行錯誤の末、コラムができました。

↓1つうまく出来たものをもとに、シリコンで型をとり、複製していきました。


↓こうしてパーツが出来、

↓最終的にはこのような完成形になりました。(まだ石膏が乾ききる前の写真なので、色は完全に白にはまだなっていませんが、乾くと真っ白になります。)



ところどころ欠けていて「精巧な石膏模型」という感じではないし、後から「ああやった方がもっと綺麗に出来たな」といった反省はたくさん生まれたけれど、色々大変だったおかげでかなり愛着が沸いています。
日本に良いETHのお土産になるし、腕時計置きにでもしようかな、という感じです。(ちなみに日本にいる友達に写メを見せたら「トイレに置けそう」という微妙なコメントをもらいました。笑)
また、この授業のおかげで、かなり石膏に慣れた気がします。

↑これが作業室の風景。プレゼンでは、机の上に作品とそれまでの工程で用いたものや写真を並べながら説明しました。
次に、3D Scanning and Freeform Modelingという授業について書きます。
この授業は以前ブログで3Dスキャンの様子を書きましたが、スキャンして得た3Dデータを細部まで修正してデータを作り、3Dプリントをしました。授業で使った3Dスキャンは、精度は高いのですが、どうしてもアスパラの先端など細かく重なって奥行きがある部分はなかなか読み込めず、データを直すのはかなり時間がかかりました。
↓出来上がった3Dデータを、この3Dプリンターで印刷していきます。


↑3Dプリントされたものは、このように粉のボックスに入って出来上がります。


↑この砂をひたすらかき分けて3Dプリントしたものを拾います。

↑アスパラ登場。笑
細かい粉塵を掃除します。

↑本格的な服装とアスパラがなんだかシュールだったので思わず自撮り。笑
粉を固めて出来ているので、ウォータープルーフにするために、アスパラに薬品を塗ります。


↑塗って乾くとこんな感じです。
このアスパラは、なんと優秀学生作品に選ばれ、教授用に少し大きく3Dプリントし直され、花とともにキャンパスに展示されていました。笑

↑シュールすぎる。笑
これらの授業は二つとも、いわゆる勉強というよりは、図工みたいな感じで、ただ楽しく、色々工夫しながら自分で頭と手を使って作っていくという感じでした。
これらが将来建築の実務に繋がるかというと、まあ使わないだろうなぁという感じですが(笑)、スティーブ・ジョブスのスピーチの「点と点をつなぐConnecting the dots」じゃないけど、こういう小さな経験がいつか何かしらに繋がるといいな~と思っています。笑(もちろんそこまで大層な話ではないけれど笑)
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また授業外では4月半ばには、インターンの面接があり、ポートフォリオ第一陣を急遽印刷しました。
↓ポートフォリオはこんな感じで、表紙はブログにも使っている画像です。笑

ロンドンのAA Schoolに1ヶ月通っていた時に撮ったイギリスのOsterley Houseという建築の写真を使ったコラージュ画像で、シンプルですが、自分のテーマを説明するときに便利で良く使っている画像です。

↑先学期ETHで作った設計スタジオの案も早速載せています。
事務所での英語の面接はかなり緊張しましたが、楽しかったです。
そして、無事に第一志望の事務所の面接に通ったので(と言っても、そこ以外は志望を出していなかったのだけれど)、労働許可がおりて欲しいところです。。。
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随分と長くなってしまいましたが、ETHでの学期の振り返りでした。
さて次の記事では設計スタジオについての振り返りをします!
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