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62.設計スタジオについて(Raphael Zuberスタジオ)

  • hinakokuga
  • 2018年7月2日
  • 読了時間: 6分

「ETHでの設計スタジオの振り返りブログを書く」と前回の記事で書いてから、すっかり3週間が経ってしまいました。

この2.3週間はというと、ローザンヌで建築を見たりブドウ畑でハイキングをしたり、ラインの滝を見たり、オペラハウスでバレエ・白鳥の湖を見たり、チューリヒ市内の建築を改めて見に行ったり、フランスのコルマールに行ったり、、、

ビザのせいでインターンを始められない鬱憤(?)悲しみ(?)を晴らすかのように、色々な物を見に行っていました。笑

ブログに書きたいことは着々と溜まっていく一方なので、どんどん書いていこうと思います!

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さて、設計スタジオについて。(言わずもがな長文です。)

留学生は1学期で20単位取る必要がある中で、設計スタジオだけで14単位を占めるほど大きな授業です。

教授ごとにテーマが違い、20ほどある教授およびテーマから選んで受講することができます。

先学期はトムエマーソン(Tom Emerson)スタジオを受講しましたが、今学期はラファエルズーバー(Raphael Zuber)スタジオを受講しました。

エマーソンスタジオについては、32.設計スタジオについて<https://sonnnenkind.wixsite.com/mysite/single-post/2018/01/21/32設計スタジオについて>の記事で長文で書きましたが、都市のスケールで課題を考え設計をしていました。

それなので、今回は「とことん小さなスケールで形を考えたい!」と思い、住宅設計をするズーバースタジオを選びました。

↑ズーバースタジオのポスター。テーマは「SPACES」です。「良い空間を追求する」というとてもシンプルな課題でした。

先学期受講したエマーソンスタジオは、60人近くの受講者が2人ペアになり設計をしていましたが、今回のズーバースタジオでは受講者16人が各々住宅を設計しました。

自分で敷地・大きさから全て選びます。私は神奈川県にある実家を再建する設計案を考えることにしましたが、他には、湖の辺りに週末住宅を作る人、京都の長屋地帯に作る人、森の中に作る人、アメリカのテキサスの1km×1kmの広大な敷地の中央に、ポツンと住宅を作る人までいて、様々な案がありました。

設計内容は皆バラバラですが、最終の表現方法は、テキスト(文)、素材を表現しないシンプルな内観のビデオ、単線だけで表現する平面図・断面図、敷地の写真、と最小限に揃えます。

設計の進め方としては、毎週50枚程、空間のレンダリング(CG)画像と平面図・断面図だけを持っていき、ズーバーとアシスタント達と、テーブルクリティーク(ミーティング)で話しながら、ただひたすら好きか、嫌いか、とその理由を考えていきます。それを毎週繰り返すことで、何度も空間のブラッシュアップをしていきます。

↑テーブルクリティークの様子。

初めは床と天井と敷地だけでレンダリングをして(CGを作って)、光の入り方・周りとの関係など基本的なことを確認することから始まり、最終的には窓のサッシの位置までチェックしていきました。

5/31、6/1の二日間に渡って行われた発表では、1人ずつそれぞれ4枚のボードに図面や写真を貼り付け、皆の案を机に並べ、前で順番に、動画とパワポとテキストを用いて発表しました。

↑これが私のボード。とにかく表現はミニマリズムです。

↑このようにずらりと皆の案を並べました。

↑発表の様子。

ちなみに、最終講評では、予定表のポスターが貼られ、自分の発表外の時間では他の教授のスタジオの発表を覗くことができます。↓

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最終的に5/31に発表した私の案について。

私の選んだ敷地は曲がった坂道の途中にあり、南西の窓からは富士山を臨める敷地にあります。

外から見ると、富士見窓ひとつ以外は窓がない、閉じた箱のような家だけれど、中に入ると、一階(敷地の関係上、実質地下空間)はサンクンガーデンから光が、二階は天井からの垂れ壁の下から光が、三階では、大きな富士見窓から光が差し込みます。それぞれ特徴的な光の入り方をもつ空間を作ろうとしました。

階段室はそれぞれの空間へのトンネルのようにやや暗くし、順に光の特徴的な空間を通り、最終的に富士見窓の空間に辿り着くような流れを作りました。

プログラムは、一階に寝室やお風呂、二階に建築家として働くアトリエ、三階にリビング及びキッチンを配置しました。

柱の位置は、構造的な意味だけでなく、三階分のフロアを視覚的に垂直に繋ぐために敢えて内部に置いたり、外部の柱も角地のちょっとしたランドマークになるよう少し高さをイレギュラーにしたりしています。

以下、発表に使った素材です。

1.動画↓

2.テキスト↓

”Window to Mount Fuji”

In a highly dense residential street in Yokohama, Japan, a house appears as a simple enclosed box. The house is on a corner of a curved sloping road. Retaining walls around site make the house unreadable from outside, and articulate an entrance at the lowest corner. The house is a three-story building for one family. A staircase space without windows works as an entrance tunnel to different worlds.

When one enters the rooms on the ground floor with 2 bedrooms and bathroom from the staircase space, one is surprised by soft light from a sunken garden, which is completely hidden by the retaining wall.

The first floor is my atelier. Here, the retaining walls are higher than an edge of a hanging façade, protecting the privacy while allowing enough brightness. The floor spreads beyond sliding glass panels, making the room feel bigger.

On the top floor, there is one big living space with a softly curved corner window, which has a view to Mt.Fuji. The space changes the height from 3.3m to 1.4m under a curving roof that emphasizes the direction of Mt.Fuji.

The three levels are connected by a pillar inside the spaces. One outside pillar on the corner of the plot connects the house to the city.

3.現在の家の窓からの写真↓

4.浮世絵。葛飾北斎の富嶽三十六景の「東都浅草本願寺」↓

富士山の精神的な意味・重要性を表現するために(日本人にとって富士山はどれだけスペシャルかを伝えるために)、浮世絵を探していたのですが、母が撮ってくれた家の窓からの写真と構図が似ていているのを発見し、発表直前にねじ込みました。

5.敷地図↓

6.平面図↓

7.断面図↓

8.動画のスチール↓

他に図を作ったり模型を作ったり一切せず、これら8つだけを使って発表しました。

こんな極限までシンプルにした図面(と言うかもはやただの図?)は初めてでです。

講評での先生たちからのコメントでは、私が表現したいコンセプトやストーリー、そしてそれを実現していること、周りの敷地との関係など、大きな流れは評価されました。

細かい点では、柱が四角で良いのか、円柱の方が良いのではないか、富士山見窓の形は本当にそれでいいのか、一階のサンクンガーデンはそもそも狭くプライベートな空間になっているのだから、わざわざ壁を立てて道路から閉じなくて良いのではないか、富士見の二階以外の残りの空間が暗くて囲まれた感じが強すぎて、「残りの空間」という感じがしていまう、ベランダの形のおかげで、二階も地面のように見える点は良い、などなど、、、指摘も多かったですが、様々な意見をもらいました。

自分の案、およびスタジオに関しての最終的な感想については、長くなってしまったので次の記事にて。

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